アメリカオフィスビルに借り換えの壁

アメリカのオフィスビルが空室増加で喘いでいるのは、日本のマスコミでも度々取り上げています。

アメリカのオフィスビルの平均空室率は約20%にも及びます。

POINT

日本では空室率が7〜8%になると、かなりの危機感が報じられるようになりますから、アメリカのオフィスビルの空室率はかなりヤバい状況です。

アメリカで空室率が高い理由は、やはり在宅で仕事を希望する人が多いことと、世の多くの人たちが想定するよりも経済が悪化していることの「合わせ技」ではないかと思います。

ブルンバーグによると、来年末までにアメリカではオフィスビルの融資の借り換えが、日本円で220兆円にも及ぶとのことです。

アメリカは、今でもインフレを抑えるためにかなり金利が高めです。

その上、借り換え時期を迎えても、空室率が20%もあると、とてもじゃありませんが、オフィスビルを初期の想定通りには運営できません。

こうなると、アメリカのオフィスビルのオーナーの多くは、どうするか?

「もうこれ以上は運営できない」と思ったら、ビル建設でお金を貸してくれた貸主にビルをそっくり返すのです。

アメリカでは「ノンリコースローン」というのが一般的で、このローンは担保物件を貸主に返してしまえば、ローンは終わってしまうのです。

ローンの貸主の多くは、アメリカの中小銀行です。

オフィスビルオーナーから、担保物件を返却されたアメリカ中小銀行は、貸し付けによる損失を確定させるためにビルを売却します。

すでにアメリカでは、オフィスビルの価格がピークより20%以上下落していますが、今後担保物件を抱えた中小銀行が、借主から返却された物件を投げ売りするとオフィスビル価格がさらに下落することは目に見えています。

そうなると、アメリカではオフィスビルの価格は急落し、かなりの数の中小銀行の破綻も想定されるということになります。

この問題は、昨日今日起きたことではありません。

もう昨年末ぐらいから不安視されている問題です。

しかし、バイデン政権もこの問題には「打つ手なし」のようで、何らの救済策も講じられていません。

「アメリカで銀行が幾つか倒産すると言っても、中小銀行がほとんどだから、大した問題ではないんだよ!」

アメリカでは、今でもこうした意見が多いのでしょう。

こうした問題を迎えているのに、ニューヨークダウは高値を更新しています。

しかし、中小銀行とはいえ、銀行がバタバタ倒産しだしたら、そんなに冷静でいられるでしょうか?

過去の例を見ても、私はそうとは思えません。

さてさてどうなるのか?

ですね。

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