トランプ大統領の関税引上げはインフレを再燃させるか?
来年1月20日からアメリカの大統領になるトランプ大統領は、国内での「大幅な減税」とアメリカへの輸入国から徴収する「大幅な関税引上げ」によりアメリカ政府の財源を確保することを公約にしています。
「関税を引き上げると輸入コストが上昇するから、アメリカ国内で物価が上昇してインフレが拡大する!」
トランプさんの大統領選勝利により、こうしたインフレ再燃の懸念が急速に高まり、将来のインフレを見越してアメリカでは長期金利が大幅上昇しました。
将来来るインフレを抑えるためには「金利を上げてモノへの需要を減らす」必要に迫られるからです。
アメリカの10年国債の利回りは、トランプさん勝利後、一時4.5%近くまで上昇しました。
案の定、先日トランプさんは「カナダ、メキシコには25%、中国には追加10%の関税を課す」と発言しました。
中国はもう既にアメリカとの関係は悪化していますし、ましてトランプさんは前大統領時代にも習近平と「関税引上げ合戦」を繰り広げたという実績があります。
習近平は今さらジタバタしても仕方ないでしょうし、そもそもトランプさんとの連絡パイプは太くはないでしょうから、トランプさんの発言にはあまり明確な反応は無かったようです。
しかし、メキシコのシェインバウム大統領とカナダのトルドー首相は違います。
とにかく大統領就任前なのにトランプさんに対する反応が早かった。
メキシコのシェインバウム大統領は、トランプさんの関税引上げ発言後、すぐに麻薬フェンタミルを約1tも押収したと発表しました。
フェンタミルは、アメリカ国民を蝕んでいる深刻な薬品で、主に中国で製造され、それがメキシコに渡り、密売業者がユルユルの国境を越えてアメリカに持ち込まれています。
トランプさんは、「国境警備の厳格化」と共に「フェンタミル撲滅」も公約に掲げているのです。
トランプさんに言わせれば「メキシコの大統領も脅かせばちゃんと自分の役割を理解して動くじゃん!」というところですね。
このように行動が早いと、トランプさんも納得するでしょうから、メキシコに対する大幅な関税引上げも見直すことは必至でしょう。
カナダのトルドー首相も大慌てでトランプさんに会いに行き関税引上げの見直しを求めています。
今年に入ってメキシコルートからの不法入国に加えて、カナダとの国境からの不法入国が急増しています。
カナダからアメリカへの不法入国は、特に中国からの入国者が多く、大不況で母国に見切りをつけて不法でアメリカへ入国する中国人に紛れて中国人民解放軍のスパイも多くアメリカに入国していると伝えられています。
トランプさんは、トルドー首相に直接言ったわけではないのでしょうけど、「カナダをアメリカの51番目の州にしようか」なんて言ってます。
トランプさんもご機嫌だったようですから、トルドー首相も「不法にアメリカに入国しようとする者をこれからは厳格に警備します」なんて言ったのでしょう。
どうやらトランプ大統領は、「関税引上げ」を武器にして、アメリカにとってプラスになる提案を相手国が提案したならば、そこは柔軟に対応するようです。
トランプ流の取引ですね。
バイデン大統領では期待できない行動です。
こう考えると、トランプさんは「関税引上げ」をぶち上げても、全て全てを初めの要求通りに強硬するわけではない、だからあまり関税引上げによってアメリカ国内で物価が上昇してせっかく落ち着いたインフレが再燃する可能性は弱くなるということになります。
しかし例外はあります。
皆さんもおわかりと思いますが「中国」です。
バイデン大統領も中国には口では強硬でしたが、やはり「抜け道」というか、多少は目をつぶるという面はありました。
しかしトランプさんは違います。
これから徹底して敵視していくでしょう。