長引くボーイングのストライキ
日本のマスコミでも、アメリカのジェット旅客機製造メーカーであるボーイング社のストライキが長期化していることは、度々報じていますから、ご存じの方も多いかと思います。
ボーイング社のワシントン州の工場に勤務する一部(組合加盟の従業員)の3万3千名が、9月13日からストに突入して未だに解決していないんですね。
ストが長引く中、ボーイング社側は、今月23日に4年間で35%の賃上げを柱とする労働協約案をスト中の労働者に提案しましたが、それを労働者側は反対過半数でその提案を「拒否」しました。
4年間で35%も給料が上がるなんて「アメリカは凄い!」と皆さん思いませんか?
それをあっさり労働者側は拒否してしまうのですから、ちょっと日本では考えられないですよね。
アメリカと日本では、物価水準自体がかなり違いますから、アメリカではこれだけ給料を上げてくれたとしても生活レベルが上昇しないということなのだとも思いますが、とにかくアメリカと日本は「給料の上がり方」が違いますよね?
日本では30年も給料が上昇していないとか言われていますが、日本で「賃上げ」を要求するストライキなんてここ10年以上聞いたことはありませんよね?
一部の共産党系の労働組合は少数でストライキをしているようですが、それ以外に工場全体の生産がストップするようなストなんて聞いたことありませんよね?
私がストの被害を体験したのは、確か高校2年生の時でしたが、当時住んでいた札幌の市営地下鉄の職員が平日にストを実行して、その日は授業が昼から行われたことを覚えているのみです。
私がまだ小学生の頃、約50年前は、日本でも当たり前のようにストライキが頻繁に行われていました。
アメリカではボーイングのみではなく、東海岸にある港湾労働者のストライキも最近行われました。
このストは賃上げ提案を労働者側は承認したので、短期間で終わりましたが。
どうも日本人というのは、大人しくなりすぎたんじゃないのかな?
アメリカのストライキやフランスの反政府運動なんかを見てみますと、本当にそう思います。
ボーイング社ですが、従業員が働いてくれないと、当然ですが業績は悪化します。
7~9月の四半期、それもストライキが始まったのは9月中旬からなのに最終損失は約9400億円です。
約1兆円の赤字ですから、10~12月の四半期はもっと大きな損失になる可能性が高いということになります。
ただこれは日本にとって、単なる「対岸の火事」では済まないのです。
ボーイングは皆さんご存じの通りアメリカの会社ですが、ボーイングの製造する旅客機の中の部品の約3割は「日本製」です。
三菱重工やら川崎重工、石川島播磨などの日本の会社が、ボーイングに部品を製造して、販売しているのです。
どちらの会社も「影響は軽微」と発表していますが、あまり有難い話ではありません。
アメリカもユーロも物価上昇は落ち着いてはきたものの、物価水準自体が改善されたわけではないのです。
前年の同月と比べて物価上昇率が落ち着きだしただけですから、物価自体は高止まりしたままなわけです。
これからも、まだ一般国民に猛々しさが残るアメリカやユーロではストライキが度々起こるのでしょう。
日本企業も煽りを受けそうです。